ポール・タフ著「私たちは子どもに何ができるのか ― 非認知能力を育み、格差に挑む」を読みました。
この本は、メンタリストDaiGoさんも絶賛していた本です。
この本を読んでも、自分の子どもに具体的にできることはそれほど書いていないです。
それよりも、世界(特にアメリカ)の貧困状態にある子どもに対し、何ができるかを考えるという内容になっています。
そこから、自分の子どもにどういったことをしていけばいいのかを考えさせられる本です。
著者は「子どもの貧困が蔓延するのを止めたい」という思いでこの本を書いています。
就学前の良質な保育・教育が、子どもにとってもっとも大きな影響を与えます。
すべての子どもに良い教育を受けさせてあげたいという著者の思いが感じ取れる本です。
本のタイトルの通り「私たちに何ができるのか」を考えながら読んでいきましょう。
今回もマインドマップを使用して、読書ノートを取りました。
マインドマップを使った読書ノートに関しては、以下の記事をご覧ください。
ではさっそく、本の内容を引用しつつ、解説していきます。
私たちは子どもに何ができるのか〜関心が高まる「非認知能力」〜
「非認知能力」とは、以下の能力のことです。
- ひとつのことに粘り強く取り組む力
- 内発的に物事に取り組もうとする意欲
「非認知能力」は、子どもがより良い人生を歩む上で、欠かせない能力と言われています。
「非認知能力」の対極にあるのが「認知能力」です。
「認知能力」とは、学力のことです。
「非認知能力」は「認知能力」を教えるような指導法では、伸ばすことはできません。
つまり、数学や英語の教え方とはまったく別物なのです。
では、どのように子どもの「非認知能力」が決まるかというと、環境です。特に、人間関係が重要です。
子どもの人間関係とは、つまりは、両親などの周りの大人です。
特に、子どもがストレスを受けている時にどう対応してあげるかが重要です。
- 親が子どもの関心を共有し、仕草や表現、言葉で反応する
- 子どもがストレスを対処するのを助け、落ち着きを取り戻すのを手伝う
以上のように、親のほんの小さな配慮が子どもの発達を助けるのです。
私たちは子どもに何ができるのか〜親が気をつけるべきこと〜
本の中で出てきた項目の中で、特に私自身が気を付けようと思ったことを2つ紹介します。
- ネグレクト(育児放棄)
- アタッチメント(愛着)
それぞれ見ていきましょう。
ネグレクト(育児放棄)
ネグレクトが子どもに悪影響を与えるのは、考えてみれば当然のことですよね。
ネグレクトは、肉体的な虐待よりも長期間に渡って害を及ぼすということもわかっています。
一方で、親が時々注意を払うのを怠ることは、プラスの効果もあるそうです。
常に親と一緒に過ごすだけでなく、時には自分だけで楽しもうとするのは子どもが自立する上でも良いことです。
もっとも気をつけなくてはならないのは、上記の2つの間の「慢性的な低刺激」です。
それは、親が子どもにあまり反応せず、きちんと向き合ってやり取りをしない状態です。
今は「スマホ育児」という言葉があるように、育児をスマホに頼りすぎている人もいると思います。
もちろん、やむを得ない事情でたまに使うことは良いですが、「慢性的な低刺激」を続けると、かなりの悪影響を及ぼします。
- 認知力や言語の発達が遅れ、実行機能に問題を生じる
- 教師や親からは不注意で落ち着きがないと見なされる
- 上手に友達を作ることができない
上記の特徴は、子ども側に原因があると思われがちですが、幼少期の親のネグレクトが原因の場合もあるんですね。
アタッチメント(愛着)
親と子どもの強い結びつきを、アタッチメントと言います。
生まれて最初の12か月の内に、温かく気配りの行き届いた子育てを経験した子どもは、親と強い結びつきを形成します。
そしてこの結びつきによって、子どもの心に安心感と自信が根付きます。
アメリカでは、低所得の家庭に介入して、育児の指導をするという制度があります。
そこでの指導で、子どもの人生に大きな変化をもたらした指導は、以下です。
もっと子どもと遊ぶように
何だか意外ですし、当たり前のことのようにも思えますよね。
ですが、親は、何か新しいことを覚える必要はないのです。
今までやってきたことの中で、子どもにとって良い行動を増やしていけば、子どもは変わるのです。
何よりも、子どもとのやりとりを増やすことが、安定したアタッチメントを育てる効果を生むそうです。
私たちは子どもに何ができるのか〜教育現場で実践すべきこと〜
今までは、家庭の中でできることを紹介してきました。
ここからは、学校などの教育現場で実践すべきことを見ていきましょう。
モチベーション
生徒の学習に対するモチベーションを上げるためには、以下の3つを促進する環境を教師が作り出すことベストです。
- 自律性:生徒が自分で選び、自分の意志でやっているという実感を持たせ、管理・強制されていると感じさせない環境
- 有能感:やり遂げることはできるが簡単すぎるわけではないタスクを与えられる環境
- 関係性:教師に好感を持たれ、価値を認められ、尊重されていると感じる環境
現在の日本の教育のままだと、上記の環境はなかなか厳しそうですよね。
メッセージ
教師から生徒へ伝えるメッセージもかなり重要です。
特に、失敗の瞬間のメッセージは、生徒が敏感になるそうです。
ここのメッセージの送り方が、子どもの将来を大きく左右します。
- ダメなメッセージ:失敗が自分の能力への最後の審判
- 良いメッセージ:失敗は一時的な躓き、学んだり改善したりするための貴重なチャンス
ダメなメッセージを受けっとった生徒は諦め、学校から距離を置いてしまうこともあります。
逆に、良いメッセージを受け取った場合は、より勉強に打ち込ませる推進力となります。
日本人は特に、失敗を避けようとする人種ですよね。
上記のような教育が広がればいいと思います。
私たちは子どもに何ができるのか〜では、どうすればいいのか?〜
著者は、現状を変えるためには以下の3つをすべきだと主張しています。
- 政策を変える
- 行動を変える
- 考え方を変える
簡単に説明を加えます。
政策を変える
貧困層の子どもたちの問題を解決する方法を見つけるために、社会政策の議論を行うべきだということです。
これはなかなかすぐに実践するのは、難しいですよね。
行動を変える
子どもたちの人生の軌跡は、大人にとってはたいして重要でないように見える些細な物事から変わり始めます。
子どもの話を聞くために少し余分な時間を取る
こうした簡単な行動が強力な変化を生むこともあります。
考え方を変える
コミュニティ内で苦しんでいる子どもたちがいるならば、何かできることがあるはずです。
子どもたちへの援助をどう届けるのが最善か、もっと上手くできるはずだ、とまずはしっかり認識することです。
【要約&感想】私たちは子どもに何ができるのか【まとめ】
先日テレビで、家族ぐるみで万引きをしているという衝撃的な映像を見ました。
子どもは親を選べません。
このような親の元で育った子どもは、そういった環境が当たり前になってしまいますし、心に大きな傷を負います。
日本でも、子どもの約7人に1人が貧困状態にあると言われています。
著者が提示した解決策の中で、行動や考え方を変えることはすぐにできます。
自分にできることは何かを考え、行動を起こすことが求められているのだと感じました。
以上です。最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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